
こんにちは、直人です!
今回はアニマルトレーニング実践編ということで、実際に動物園のアニマルショーで行われているパフォーマンスのトレーニング方法について紹介します。(一部は私の予想となります。)
また、テクニックについても紹介します!
ターゲットトレーニング
これは「ターゲット」という目印を棒の先端に取り付け、そのターゲットを動物が追いかけるようにします。




(ターゲットは赤色ですが、実はウサギは赤色が見えません、、、。おそらく明暗で判断していると思います)

「ターゲット」と「クリッカー」を組み合わせて行うことができます。
上のスライドのように細かくステップを分けて、最終目標は「ターゲットを追いかける」ようにします。
ケージから出して、動物が緊張して固まってしまった場合は、ターゲットトレーニングの環境を徐々にオープンスペースにしていく。「ケージの中」→「床にケージの上部網部分だけ置く」→「完全にケージの外」
このように少しずつ目標の行動(パフォーマンス)に近づけていることを「シェイピング(形づくる)」といいます!


実はこのターゲットトレーニングですが、ミズガメや魚でもできます!
ある程度「活動的」で、「エサへの執着がある」動物であればできます!
ターゲットトレーニングはストレス無く動物をケージに誘導するときにも有効です。
動物に「いいぞ!」と伝える道具のクリッカーですが、じつは他のものでも代用できます。
- ライトの点滅(赤色のカラーテープを付ける)レッドライト
- 振動
- and more
魚の場合、水の中にいるため、クリッカーの「カチッ」という音が聞こえていない可能性があります。
そこで、魚がターゲットをタッチした瞬間に「レッドライトをチカチカさせる」「水槽をトントンと叩く」です。
この後に紹介しますが、写真のイシガメは「アジリティー」、ハリセンボンは「輪くぐり」もできるようになりました!
クリッカーの説明は下記の記事を参照ください♪

輪くぐり


「輪くぐり」はフライトトレーニングやターゲットトレーニングができていれば、
- 「短い距離」で「輪っか1個」でくぐる
- 「短い距離」で「輪っか2個」でくぐる
- 「短い距離」で「輪っか3個~」でくぐる
- 輪っかの間隔を少しずつ長くしていく
ここでの注意点は、
- 動物が輪っか越しにトレーナー(飼い主)を目視できるように一直線に並べる
- 輪っかを動かさない
- 動物が動き出したそうにしているタイミングを見逃さない
アジリティー

アジリティーとは「障害物競走」のようなイメージで、
イヌの競技が有名です。
平均台、シーソー、トンネル、スラローム、タイヤ、
ハードルなどがあります。
(細かいクリア基準はあるようです。)

イヌほど正確で、スピーディーにパフォーマンスすることは難しいですが、他の動物でもそれっぽいことをさせることは可能です。
それぞれの種目と、実際に私が他の動物でトレーニングを行った内容を紹介していきます。
平均台


実はフクロウって「歩く」ことが上手です!
翼を閉じたままトコトコ歩く個体もいれば、翼を広げたままノシノシ歩く個体もいて、個性豊かでした(^^)
はじめは「平均台」を怖がっていましたが、「平均台の近くでエサをあげる」「平均台に乗せてエサをあげる」「平均台の上を歩いたらエサをあげる」と少しずつ慣らしていくことでできるようになりました。
ちなみに、「シーソー」はガタンという衝撃にビックリして飛んで行ってしまうため、断念しました(^^;)
Aフレーム


「Aフレーム」も「平均台」と同じ要領でできました。
テーブル


「テーブル」はフクロウでやってみました。
エサがほしいのか、急いで越えようしていたので、
手のひらを顔の前に向けて「待て」という合図を入れて
気分を落ち着かせることでできるようになりました。
タイヤ


先ほど紹介した「輪くぐり」と似ています。
ジャンプしてくぐれないまでも、よじ登ってくぐるのであれば、ネズミやフェレットでもできました。
スラローム


「スラローム」は縦に並んだコーンやポールを左右交互にジグザグに走り抜ける競技です。

ターゲットに集中させて、誘導することでスラロームっぽくパフォーマンスさせることはできました。フェレットでも同様です。
やはり、イヌのように1つの合図ですべてのコーンを交互に走らせることはできませんでした(^^;)
トンネル



「トンネル」は意外と難しく、布で覆ってしまうとフクロウの場合は怖がってしまってできませんでした。
そのため、骨組みだけのオープン状態では上手くくぐってくれました。
ウサギやネズミでも試したことがありますが、穴や暗い場所を好む動物ではトンネルの中から出てこなくなってしまいました(^^;)
ちなみに「人の股下」をトンネルに見立てて動物にくぐらせるパフォーマンスもできます。
ハードル


「ハードル」はウサギで試そうとしましたが断念しました。
万が一、後ろ足を引っかけてもバーがすぐ落ちるような構造でハードルを作りましたが、ウサギは大腿骨(後ろ足の太ももにある太い骨)を骨折しやすいため、やめました。
ハードルはジャンプする習性のない動物(モルモット、フェレット、カメなど)はそもそも教えることができないなと思いました。
ここからは、イヌではできないパフォーマンスを紹介します。
もう10年近く前に行ったきりですが、とても好きなアニマルショーが伊豆シャボテン公園でやっていたので紹介します。(写真は当時撮影した物です。)今もやっているかはわかりません。
綱渡り

「綱渡り」は私もネズミ(ラット)やデグー(ネズミの仲間)でやってみたことがあります。
ラットは尻尾を巻き付けたりと上手く使って上手にできます。デグーは慣れると人の肩に乗ってくる程のバランス感覚なので得意そうでした。
個体にもよるのかもしれませんが、私がラットで綱渡りをトレーニングしたときは「正の強化(できたらエサがもらえる)」を最初に試しましたが、上手くいきませんでした。
どうやら、そのラットからしたら「恐怖>報酬(良いこと)」だったようで、まったくエサを食べようとしませんでした。
そこで、ネズミは暗い場所を好む習性を利用して、
綱渡りができたら「安心できる場所に入れる」「恐怖から解放される」と学習できるのではないかと思い、
ゴール地点に箱を設置しました。
すると、綱を渡ってくれるようになりました。
この方法の欠点は、ネズミが箱を目視できる距離でした使えないため、あまり長い綱渡りではできない可能性があるなと思いました。


ラットのスラロームもやっていました。これはおそらく、綱渡りをトレーニングすれば、ラットからしたら綱の上を歩いているだけ。しかし、観客からしたらジグザグにコーンを避けているように見える。とても上手い見せ方だなと思いました!!

これは、おそらく「古典的条件付け(レスポンデント条件付け)」で教えることができるかなと思いました。
例えば、「エサ」をあげるときに毎回「タンバリン」や「鈴」を慣らすことを繰り返す。
こうすると、「タンバリンの音=エサの時間」と動物が学習し、タンバリンの音の方へ集まってくる。という物です。
イヌが飼い主が帰ってくる時の扉が「ガチャッ」と開く音を聞いて玄関まで迎えに来る。と同じ原理です。
今飼っているメダカにエサをあげるときに、エサの蓋を「トントン」と慣らしてからエサをあげていたら、その音を聞いただけで水面に集まってくるようになりました。
アニマルショーの具体例を紹介しましたが、やはり相手は動物なので上手くいくことばかりではありません。
そこで、アニマルトレーニングのテクニックも紹介します!
アニマルトレーニングのテクニック
シェイピング

スモールステップ(少しずつ)で行動(パフォーマンス)を作っていく
チャージング

動物の集中力が切れ始めたときのモチベーションアップに使う
プロンプト/フェイディング
- プロンプト:「補助」を加えていく
- フェイディング:「補助」を減らしていく
アニマルトレーニングではプロンプトとフェイディングを合わせて使うことが多いです。
プロンプト/フェイディングはシェイピングを促進させるテクニック
最初にプロンプト(「補助」を付ける)で動物に行動(パフォーマンス)をわかりやすく教え、フェイディング(「補助」を無くしていく)でヒントを無くして行動(パフォーマンス)を仕上げていきます。

イメージは自転車の練習で、「補助輪付き」→「補助輪片側のみ」→「補助輪無し(人が支える)」→「補助輪無し」(一人で乗れる)です。




「ターゲットトレーニング」もプロンプトの1つで、理想は「ターゲット無し」でパフォーマンスを行うこと
トレーニングプランと記録


トレーニングは長い時間をかけて進めていきます。
漠然とトレーニングをやっても、目的意識や達成感を維持することが難しいです。
また、問題が生じたときの解決方法を考えることができなくなる恐れがあります。
そこでオススメの方法が「トレーニングノート」です。
その日の成果や課題を記録していくことで、上達ぶりや問題を把握できるようになります。
私が記録した内容は以下のようになります。

ベテランの動物トレーナーは自分の経験からの「感覚」でやってしまうことが多いです。
私も動物園でバードショーをするためにトレーニングのやり方を先輩やイギリスの鷹匠に教えてもらいましたが、
「見て覚えろ」「技を盗め」という感じでした。
その経験があり、動物専門学校で学生に教えるときは極力「行動を数値化」して、「客観的」に伝えたいと思って取り組んでいました。
行動の数値化の例としては、
- 時間(○○秒)
- 回数(△△回)
- 距離(□□cm)
時間

- 「こっちに来い」という合図を出してから「○○秒」後に反応した
- 「○○秒間」待つことができた
- リアクションタイム(反応時間)
回数
- 「△△回」ジャンプした
- 「△△回」飛んできた
- 人形(ターゲット)に「△△回」キックした
(以前掛川花鳥園でやっていたヘビクイワシのキック) - 「△△回」ターゲットに触った
- 「△△回」股下をくぐった
- 正解率=成功した回数/トライアル数
(○○回中△回成功した)

距離

- 「□□cm」離した距離でターゲットのタッチした
- 「□□cm」離れた場所から飛んできた
このように「行動を数値化」してトレーニングの記録を取ると、動物たちの「上達ぶり」を明確にできます。
できるようであれば、記録した数値をExcelでグラフにすると「上達ぶり=学習曲線」にすることができます!

そうすることで、トレーニングの条件を変えたり、原因を考えるときに客観的に判断できるようになります!!
行動を数値化して記録を残そう!
「トレーニングノート」と合わせて「体重管理」も忘れずに行うことが大切です。

今回はアニマルトレーニング実践ということで、動物園のアニマルショーについて紹介しました。
トレーニングは長い時間動物と向き合い、絆を深めながら作り上げていきます。
当時、私はショーデビューの3ヶ月間前から準備し、相方のフクロウたちと向き合いました。
デビュー当日、緊張で頭が真っ白になりそうになりましたが、フクロウたちが練習通りのパフォーマンスをしてくれ、お客さんから拍手をもらった時は涙があふれてきたことを今でも鮮明に覚えています。
動物とは言葉は通じないかもしれませんが、絆は確実に生まれます。あと相性もあります。
ただ愛でるだけではなく、トレーニングを通じて絆を作り上げていく楽しさを感じていただければ幸いです!
それでは、また!

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